Chapter 01 | イスラエルシライシ 齋藤真言さん |
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宝石の中でも輝きを楽しむのは、
「ダイヤモンド」だけ。
これまで鑑定してきたダイヤモンドは100万ピース以上。
ベルギー、インドと並び、ダイヤモンドの三大市場に数えられるイスラエルに1985年から在住するプロフェッショナル鑑定士、斎藤真言(さいとうまこと)さん。
一生モノのダイヤモンドを選ぶ基準はどんなところにあるのか。プロ中のプロに、お話を伺いました。
01.「輝き」はカットと仕上げで決まる
まずダイヤモンドのプロポーションを判定
カットを判断するにはまずダイヤモンドのプロポーションを判定する必要があります。従来は人間の眼で行ってきた作業ですが、現在は特殊な測定器を使い、GIA(米国宝石学協会)が作成したプロポーション判定ソフトを利用しています。プロポーションはダイヤモンド内部の緻密な反射にかかわるので、高度な測定器でより精度の高い判定を行うことは理にかなっています。
バイヤー自身が肉眼で、対称性や仕上げを判断
私自身が肉眼で対称性や仕上げを判断し、測定器で判定されたプロポーションを考慮した上で、最終的なカットグレードを判断します。能力が大きく影響するので、人間のアナログな感性が最後には重要だと思うのです。
02.そして“色”
ダイヤモンドの色相とその度合いを吟味
「カラーグレーティング」
実のところダイヤモンドは、無色透明ではなく黄色を微かに含むケースが大半。ダイヤモンドの色にはランクがあって、それに応じたサンプルと鑑定対象を並べて、カラーにおけるグレードを判定するわけです。
妥協を許さない、徹底された自己管理
私は鑑定の仕事を行う上で、自分自身のコンディションの管理を徹底しています。ダイヤモンドをみる際、体調だけじゃなくメンタル面も影響します。例えば、お酒を飲んだ次の日はダイヤモンドの色が正確に把握できません。したがって飲酒翌日は鑑定を行わず、鑑定の日時も晴れた日の午前11時前後と決めています。自然光の強さにも気を遣っています。
03.“クラリティ”(透明度)のランク
顕微鏡を使って不純物や研磨の傷をチェック
ルーペでダイヤモンドのバランスを見極め、顕微鏡を使って不純物や研磨の傷をチェックします。また、ダイヤモンドの対称性をみる「ハート&キューピット」も特殊なスコープを用いて行います。
できる限り正確な検品を
顕微鏡も使うとなるとまるで研究者のようですが、正確を期すために使えるものは何でも使います。通常は10倍のルーペで拡大し、欠陥なしと判断されればOKですが、私は妥協したくない。できる限り正確な検品をおこないたいので、顕微鏡を用いて、より高い精度を保持するべきと考えています。
「本当に良いものを選びたい」というお客様の願いと鑑定する側の願いがリンクする。その姿勢が不可欠です。
何より大切なのは、
お客様ご自身の価値観を優先すること
ダイヤモンドを購入される方へのアドバイス
ダイヤモンドと他の宝石の1番の違いは「キラキラ感」を楽しむことができることです。お客様により選ぶ基準は様々あると思いますが、是非、身に着けた時に"嬉しい"と思うかどうかの観点で選んでいただきたいです。
お客様の気に入ったダイヤモンドこそ、“ベスト”
心から気に入ったダイヤモンドを手にしたとき、お客様がみせるパッと輝く明るい得も言えぬ幸せな表情。この様子を見たときに「この仕事に携わってよかった」と私は心から感じます。その瞬間から、ひとつのご家族の歴史が誕生する。素敵な瞬間です。
齋藤真言Makoto Saito / イスラエルシライシ
“幸福の象徴” 最高品質のダイヤモンドを探し求めて
世界中のダイヤモンドが集まる巨大市場イスラエルで、鑑定士&バイヤーとして活躍。日本の鑑定機関でも18年に渡り鑑定士・責任者として勤めたキャリアを持つ。妥協を許さず、最高品質のダイヤモンドを見極める、卓越した技術の持ち主である。